りんご梯子

りんご歴史研究所の木浪です。

今日はりんご梯子(ハシゴ)の歴史をご案内します。

弘前市和徳町にあります木村木工所さん。

現社長さんの木村雄治さんにお話を聞きました。

大正5年、

雄治さんの曽祖父の貞次郎さんが

4本足のりんご梯子を発明したそうです。

それまでの梯子は3本足だったので

上ったら下りるの繰り返しでしたが、

片方から上がって反対側に下りられる梯子があればいいのに

という農家さんの要望を形にしたのだそうです。

材質もそれまでの松や杉から青森ヒバに変えました。

緻密で強く、水をはじくので、

何十年も持つのだそうです。

足の開く角度の研究も何度も行い

黄金比を確立するまで苦労されたそうです。

しかし、特許を取るなどはしなかったため、

多くの建具屋さんがつぎつぎこのハシゴを作り

青森中に普及しました。

春先の剪定時期に間に合わせるため

冬の間、ハシゴを作るのが建具屋さんの

風物詩だったようです。

更に春の早い長野県などに

こちらから剪定の出稼ぎに行った

農家さんの情報から東北中に

4本足ハシゴの噂が広まり

列車の貨車に沢山積まれて東北

更には北海道にまで出荷されていたとのこと。

折れたら何度でも修理が可能で今でも

10年以上前のハシゴの修理依頼が絶えないそうです。

最近は3本足のアルミのハシゴを良く見ます

管理しやすく耐久性もいいのですが、

木製梯子がアルミと違うのは

寒い日も冷たくないから体に優しい事。

りんごの樹高が高かったころは

7尺8尺のハシゴが主流だったし

10尺(3メートル)のハシゴも

よく作ったそうですが、

今では栽培しやすいように樹の高さが低くなったので

5尺のものまであるそうです。

また長い青森ヒバの木材が

入手しづらくなってきた事も

現実としてあるのだとか。

私自身、りんご歴史研究所を立ち上げてから

初めて知る事が沢山ある中でも

トップクラスで興味深い歴史となりました。

りんご農家に生まれた者として

梯子は最も身近にあった物でしたし、

梯子の天辺に立てた時は

自分が大人になった気がした思い出があるアイテムです。

そんな梯子にこんな歴史があったなんて!

木村木工所さんのお話が

YouTubeにありましたので

ご覧ください。